【10月19日 東方新報】中国の人気トップ女優、範冰冰(Fan Bingbing、ファン・ビンビン)さんが出演する映画『大爆撃』が、中国で予定していた26日の公開を前に、上映取りやめとなったことがわかった。映画の蕭鋒(Xiao Feng)監督が17日、微博(ウェイボー、Weibo)で明らかにした。

『大爆撃』は1938年2月から44年12月にかけて、日本軍が重慶に対して行った6年11か月にわたる無差別爆撃の中で、重慶市民が死と向き合い、明るさを保ちつつ粘り強く抵抗した姿や、若い中国の飛行兵らが命をかけて日本軍と戦い国を守った勇ましい物語だ。

 映画『大爆撃』の宣伝担当者は記者の取材に応じ、「26日からの上映を取りやめただけで、具体的な原因や今後の上演予定については知らされていない」話した。

■脱税目的の「陰陽契約」

 テレビ番組の司会者で著名なメディア人である崔永元氏(Cui Yongyuan)が今年5月、映画俳優が脱税のために出演契約を表と裏の2本に分ける「陰陽契約」の秘密を暴いてから、業界内で大きな風が吹き荒れている。

 陰陽契約の中に、ファンさんの名前も浮上したことで、ファンさんが多く出演していた上場会社の「華誼兄弟(Huayi Brothers Media)」「唐徳影視(Talent Television & Film)」などの株価が大きく下落。主演あるいは参加した映画はことごとく影響を受けている。

 ファンさんは、『大爆撃』の登場は1回だけ。しかし、崔氏は「陰陽契約」の一例として『大爆撃』に言及し、「『大爆撃』ではなく『大詐欺』だ」と言ったことから、映画に直接影響を与えている。

 崔氏の暴いた情報では、ファンさんが結んだ『大爆撃』の出演契約には、出演料として税引き後1000万元(約1億6千万円)、ヘアメイクアーティストはファン・ビンビンが連れてくるが、ヘアメークアーティストの費用は映画会社負担で1か月8万元(約130万円)、付き人用専用車、キャンピングカー、その他スタッフのために五つ星クラスの宿泊と食事を手配するか、あるいは食事が提供されない場合は1日1500元(約2万4000円)の出演手当てを支給する、などとしていた。

 崔氏は、映画に出演したほかの俳優の出演料についても暴いた。「あなたがたは経費をぎりぎりに抑えて1億5000万元(約24億円)で映画を作ったと言っているが、信じられるか? 映画の出資者だった『快鹿集団(Kuailu)』側の帳簿では、使った金は少なくとも15億元(約243億円)を超えている」

 ファンさんの脱税事件は3日、明らかになった。新華社(Xinhua)通信によると、ファンさんは『大爆撃』の映画の撮影の中で、実際に得た出演料は3000万元(約4億9000万円)で、このうち1000万元(約1億6000万円)はすでに申告納税済みで、残る2000万元(約3億2000万円)は未申告。個人所得税618万元(約1億円)、営業税と付加税112万元(約1820万円)、合わせて730万元(約1億1800万円)が未納となっているという。(c)東方新報/AFPBB News