【10月19日 AFP】方言に基づく差別を違法とする法案が、フランス国民議会(下院)に近く提出されそうだ。著名な政治家がジャーナリストの南部訛りをばかにした態度を取ったことを受け、与党「共和国前進(REM)」の下院議員が18日、法案提出の考えを表明した。

「私たちの話しているフランス語には、少しも訛りがないというのか」と、レティシア・アビア(Laetitia Avia)議員は、ツイッター(Twitter)に投稿した。

「標準アクセントで話さなかったら、屈辱を味わわされなければならないのか? 私たちの方言は、私たちのアイデンティティーだ。だから、私は『グロットフォビア(glottophobia、言語差別)』を差別を生む源泉とみなす法案を提出する」

 フランス語には首都パリをはじめ、パリ郊外、南仏など全土に地方アクセントがあるが、いずれも「多くのフランス国民にとって不可分のアイデンティティーの一部」だとアビア氏の法案は言明している。

 発端となったのは17日、極左政党「不屈のフランス(France Insoumise)」のジャンリュック・メランション(Jean-Luc Melenchon)代表が国民議会での囲み取材の際、南部訛りのある記者の質問に対して失礼な態度を取ったことだ。2017年仏大統領選の候補者だったことでも知られるメランション氏は、「フランス語で質問してくれないか? そうしたら、もう少し意味が分かりやすくなるんだが」と返した。

 この様子はカメラに収められ、映像がソーシャルメディア上で拡散した。(c)AFP