【10月19日 AFP】パレスチナ問題をめぐりイスラエルに抗議するボイコット運動に賛同したことを理由にイスラエル入国を拒否され、空港で2週間以上にわたって拘束されていた米国人留学生に対し、イスラエルの最高裁判所は18日、入国を認める判断を下した。

 パレスチナ系米国人を父に持つララ・アルカセム(Lara Alqasem)さん(22)は今月2日、エルサレム・ヘブライ大学(Hebrew University of Jerusalem)の奨学生として修士課程で学ぶため、テルアビブ(Tel Aviv)のベングリオン空港(Ben Gurion Airport)に降り立った。ところが、有効なビザ(査証)を所持していたにもかかわらず、入国審査を通過できなかった。

 入国拒否の理由は、対イスラエル制裁を呼び掛ける「ボイコット、投資引き揚げ、制裁(BDS)」運動に賛同したことだった。イスラエルでは昨年、BDS運動支持者の入国を禁じる法律が成立している。

 アルカセムさんは米国への帰国を命じられたが、イスラエルにとどまり、入国拒否に抗議する訴えを起こした。1審と2審では訴えが退けられ、これまで2週間以上にわたって空港で拘束されていた。

 最高裁は判事3人による審理で、アルカセムさんの主張を支持。アルカセムさんの入国を禁じたイスラエル内務省の決定は「良識から逸脱しており、撤回する」との判断を下した。

 イスラエル移民当局は判断を受け、18日中にアルカセムさんを釈放すると発表。ヘブライ大学は声明で、アルカセムさんが人権と移行期正義に関する修士課程の講義に来週から出席すると明らかにし、入学を歓迎した。

 アルカセムさんはフロリダ大学(University of Florida)在学中、イスラエルに対するボイコット運動を呼び掛ける「パレスチナに正義を求める学生の会(SJP)」の支部長を務めていた。ただ、アルカセムさんによれば既に昨年SJPを脱退しており、今はBDS運動にも参加していないという。(c)AFP/Stephen Weizman