【10月18日 AFP】米国の実業家シャヒード・カーン(Shahid Khan)氏は17日、議論を呼んだ英ロンドンにあるウェンブリー・スタジアム(Wembley Stadium)の買収計画を取りやめたと発表した。

 現在ウェンブリーを保有しているイングランドサッカー協会(FA)は、売却の計画をめぐり協会内部からの批判を受けている。FAはまた、買収案に関する「構造的な腐敗」の疑惑に対して調査を行っていた。

 イングランド・プレミアリーグのフラム(Fulham)を所有するカーン氏は、6億ポンド(約883億円)でウェンブリーの買収を申し出ていた。契約の最終額は9億ポンド(約1325億円)で、FAはこの資金を元手に、草の根サッカーへの再投資をすることになっていた。

 FAの重役たちは買収が成立されることに満足していたが、先週のFA評議会でも明らかだったように、幅広い層からの支持不足がカーン氏が撤退を決めた要因となった。

 カーン氏は、「先週行われたFA評議会を受け、現時点でウェンブリーを売却するという明確な権限は存在しておらず、私の提案はFA評議会のぎりぎり過半数程度の支持しか得られなかった。これはFAのグレッグ・クラーク(Greg Clarke)会長が求める決定的な票差にまったく届いていなかった」とコメントした。

 一方でカーン氏は、新たに入札を進める可能性を残している。

「FAのウェンブリー売却に対する見解が一つにまとまれば、またの機会にその可能性を再検討することは排除できない」 (c)AFP/Julian GUYER