【10月18日 AFP】米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は17日、2週間近く行方不明になっているサウジアラビアの著名ジャーナリスト、ジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏の「最後のコラム」だとする記事を掲載した。この記事の中でカショギ氏は、アラブ世界における報道の自由の重要性について記している。

 カショギ氏は今月2日、トルコ人女性との結婚を前に必要書類を受け取るためイスタンブールのサウジ総領事館を訪れた後、行方が分からなくなった。同氏は米国在住で、ワシントン・ポストに寄稿していた。

 カショギ氏は記事の中で、「市民が世界の出来事について情報を得られるよう、アラブ世界は旧態依然とした多国籍メディアの現代版を必要としている」と指摘。

 また、「さらに重要なのは、われわれはアラブの声を伝えるためのプラットフォームを必要としていることだ」と強調するとともに、「プロパガンダを通じて憎悪を拡散する国家主義的な政府に影響されない、独立した国際フォーラムを設置することで、アラブ世界の一般市民は自らの社会が直面している構造的な問題に対処できるようになる」と訴えている。

 ワシントン・ポストのグローバルオピニオン欄を担当するカレン・アティア(Karen Attiah)記者は前書きで、同紙がカショギ氏の帰還を願い、記事の掲載を一時差し控えていたと明かした。

 しかし、アティア記者は「今、そうしたことは起きないのだと受け入れなければならない。これは彼の最後の記事だ」と表明し、「アラブ世界における自由のために彼がささげた献身と情熱を、このコラムは完璧に捉えている。彼は自由に命をささげた」と記した。(c)AFP