【10月17日 AFP】3500年以上前のエジプトで水産養殖が行われていたとする研究結果が16日、発表された。同類の活動の証拠としては世界最古だという。

 ドイツとイスラエルの共同研究チームは、現在のイスラエルにあたる地域の考古学的遺跡複数から出土した魚の歯100個を調査し、それらが数千年前にエジプト・シナイ(Sinai)半島の潟湖で養殖された魚であるとの結論を下した。

 今回の研究に参加したイスラエル・ハイファ大学(University of Haifa)が発表した声明によると「歯の標本の年代は、新石器時代から初期イスラム時代に至るまでの約1万年に及ぶ年代区分にわたっていた」という。研究対象となった標本の一部が、約3500年前のものだった。

 研究結果をまとめた論文の執筆者の一人で、ハイファ大のガイ・バーオズ(Guy Bar-Oz)教授(考古学)は、当時の手法では、魚が入ってくる潟湖を見つけて、数か月間封鎖していたことが考えられるとした。また、この手法については、シナイ半島の潟湖で現在も用いられていることを説明している。

 研究には、ハイファ大とドイツのマインツ大学(Mainz University)およびゲオルグ・アウグスト大学ゲッティンゲン(Georg-August-Universitat Gottingen)の研究者らが参加した。対象となったヨーロッパヘダイの歯に含まれる異なる種類の酸素同位体を調べ、これらの魚が「閉鎖された潟湖の中で4か月間以上過ごしていた」ことを推定した。バーオズ教授がAFPの取材に語った。

 また、論文の共同執筆者でハイファ大のイリット・ゾーハル(Irit Zohar)氏は、約3500年前に魚のサイズの規格化が行われており、エジプトから輸入された魚がすべて「皿(に合う)サイズ」だったことを指摘し、「現代の水産養殖で育てられた魚にみられることと全く同じ」と続けた。こうしたことから、研究チームが発見したヨーロッパヘダイの大半は、地元の漁ではなく、養殖によってもたらされたものだったことが推測できる。

 当時のエジプトについてバーオズ教授は、「水産養殖の超大国」だったことも考えられるとしている。世界最古の魚の養殖については、約4000年前に中国で行われていたとの考えがある。ただバーオズ教授によると、この説を立証するための証拠は一つも提示されていないという。(c)AFP