【10月16日 AFP】シリア内戦で反体制派が最後の拠点とする北西部イドリブ(Idlib)県で15日、大規模な戦闘を回避する目的で政権軍と反体制派それぞれの支配地域の境界に沿って設置することで合意した非武装地帯の発効期限を迎えた。だが、反体制派側の過激派は撤退の動きを見せていない。

 反体制派を支援するトルコとシリア政権側を支援するロシアの間では先月、非武装地帯の設置で合意に至り、今月15日を期限として「過激派戦闘員」らに非武装地帯からの撤退を求めていた。合意は、住民約300万人が暮らすイドリブへの政権軍による総攻撃を回避するための最後の手段とされていた。

 しかし、在英NGO「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」は15日朝、「非武装地帯の全域で、過激派戦闘員の撤退はまったく確認されていない」と明らかにした。

 一方シリア政府側は、合意が崩壊したと判断するにはまだ時間がかかるとの見解を示しており、シリアのワリード・ムアレム(Walid Muallem)外相は「状況を監視し、調査しているロシアの反応を待つ必要がある」と述べた。

 イドリブの住民たちは、停戦が崩壊すれば再び空爆や戦闘が始まると恐れている。

 国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)のシリア支部を前身とする反体制派連合で、イドリブ県で活発な動きを見せているイスラム過激派組織「ハヤート・タハリール・シャーム(HTS)」は、非武装地帯の設置期限が迫る数時間前も「われわれの聖なる革命の実現に向けた聖戦と戦闘という選択を放棄する考えはない」と言明していた。

 HTSなどの急進的な過激派組織は非武装地帯の3分の2以上に加え、イドリブ県の残りの地域の半分以上を支配下に収めている。(c)AFP/Layal Abou Rahal