【10月18日 Xinhua News】映画「アバター」に出てくる幻想的な「魂の木」がいまだに記憶に新しい人も多いだろう。中国四川省成都華希昆虫博物館の科学調査隊は10日、同省眉山(びざん)市仁寿(じんじゅ)県五竜山の洞窟を探検し、深さ400~500メートルの場所で、[魂の木]のような幻想的な世界を発見した。

 これは、「幽簾虫」(ヒカリキノコバエ、土ボタルとも)と呼ばれる双翅目(そうしもく、ハエ目)に属する昆虫による光る玉すだれのような景観だ。この「幽簾虫」は非常に湿度の高い洞窟の天井に生息し、幼虫が分泌する長く粘着性のある液体がしずくのように付着する糸が洞窟の天井から垂れ下がり、それが密集してミニ版「魂の木」、あるいはきらきらと輝く水晶の玉すだれのような景観を形成する。

科学研究員

 この洞窟の壁にこのような糸のようなものが垂れ下がっていますが、これが双翅目昆虫の幼虫が分泌したものです。

「幽簾虫」の他にも、調査隊は洞窟の深さ約300メートルのところで、洞窟性ヤスデを3種類発見した。このうち数が最も多いのが、全身が白く、細長い体形をしたもので、クロアチアの山脈の地下1100メートルの場所で発見され、ギリシャ神話の冥界の神「ハデス」にちなんで「ゲオフィルス・ハデシ(Geophilus hadesi)」と名付けられた猛毒を持つムカデに外観が非常に似ているという。

科学研究員

 スクリーン上の白い、はって動いているものが、白いヤスデで、代表的な洞穴生物です。身体に色素がなくなったため、純白になっています。また、目も退化してしまったと推定できます。これは洞穴生物の典型的な特徴です。色素がなくなり、純白、又は無色透明になり、その後目も退化してしまうのです。このような状況は洞窟の中でのみ起こります。洞窟の外では光線によって、これら白く透明な生物はみな死んでしまうからです。これらの白いヤスデは洞窟の中で多く見られます。

 四川省でこうした昆虫の奇観が発見されたのはこれが初めてで、動画が撮影されたのは中国でも初めてだという。(c)Xinhua News/AFPBB News