【10月16日 AFP】体操女子の五輪金メダリストであるアレクサンドラ・レイズマン(Alexandra Raisman)は15日、米体操連盟(USA Gymnastics)の人事に関して猛反発した。これを受けて、四面楚歌(そか)の状況に置かれて重圧が増している同連盟は、人選の再考を迫られている。

 レイズマンはツイッター(Twitter)に投稿した一連のコメントで、スキャンダルにまみれた米体操連盟が、元共和党下院議員のメアリー・ボノ(Mary Bono)氏を暫定最高経営責任者(CEO)に選んだことを批判した。

 同選手の主張によると、米体操連盟の元チーム医師であるラリー・ナサール(Larry Nassar)被告による性的虐待スキャンダルのさなか、ボノ氏が関係しているフェーガー・ベーカー・ダニエルズ(Faegre Baker Daniels)法律事務所が同連盟に助言していたという。

 2012年ロンドン五輪と2016年リオデジャネイロ五輪で金メダルを獲得した24歳のレイズマンは、スキャンダルが明るみに出る前に、この法律事務所がナサール被告の罪を「隠蔽(いんぺい)」していたと批判している。

「チームメートと私は、2015年に米体操連盟に対してナサール被告の虐待行為を通報した」「米国オリンピック委員会(USOC)と(メアリー・ボノ氏の事務所である)フェーガー・ベーカー・ダニエルズの弁護士らは、当時そのことを知らされていたのに、ナサール被告による子どもたちへの虐待行為は、それから13か月間も続いていた!?」「なぜ、虐待行為の隠蔽に手を貸すような事務所の関係者を雇うのでしょうか?」

 自身もナサール被告による虐待の被害を受けたレイズマンは、問題のスキャンダルをめぐり米体操連盟とUSOCを相手取り、訴訟を起こしている。同被告は今年、2012年と2016年の五輪に出場した米代表のスター選手を含め、250人以上の選手を虐待していたとして終身刑を言い渡された。

 レイズマンは続けて、「虐待サバイバー、現役の体操選手、家族、コーチ、体操コミュニティーとファンの人たちは、もっと良い扱いに値する」とすると、「何が起きていたのか明確に知るまでは、私たちは前に進めない。米体操連盟には説明責任があり、透明性を確保してすべての書類とデータを公開してもらいたい。お願いだから、真実を話して。こんなのはひどすぎる」と訴えた。(c)AFP