【10月15日 AFP】欧州F3選手権(FIA European Formula 3 Championship)を制し、「ミハエル・シューマッハ(Michael Schumacher)の息子」という肩書きを引っ提げてのフォーミュラワン(F1、F1世界選手権)参戦もうわさされるミック・シューマッハ(Mick Schumacher)について、関係者が「ミハエルのレース遺伝子を受け継いでいる」と話している。

 F1の伝説的ドライバーで、現在は療養中のミハエル氏の息子であるミックは、シーズン最終戦のホッケンハイム大会のレース2で年間チャンピオンの座を確定させると、14日に行われた最終レース3では2位に入り、7勝を含む今季通算14回目の表彰台フィニッシュでシーズンを終えた。特にシーズン後半は、5連勝を飾って年間トップに立つ素晴らしい走りを見せた。

 ドイツツーリングカー選手権(DTM)のトップであるゲルハルト・ベルガー(Gerhard Berger)氏は、ミックが「ミハエルのレース遺伝子も受け継いでいる。こうしたパフォーマンスを続けられるなら、F1への道も開けるはずだ」とコメントした。

 ミックの走りは、F1チームのメルセデスAMG(Mercedes AMG)のトト・ヴォルフ(Toto Wolff)代表にとっても印象的だったようで、同氏は「F1のビッグネームになれる可能性がある。初めからスポットライトが当たり、大きなプレッシャーがかかる立場だった。それと折り合いをつけるのは、まったくもって簡単なことではない」と話している。

 イタリアのガゼッタ・デロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)紙は、ミハエル氏が最後にF1の年間タイトルを獲得してから14年ぶりに、また同氏が21歳でドイツF3選手権を制してから28年ぶりに「シューマッハ王朝の後継者」が現れたと大々的に報じた。

 モータースポーツ界指折りの有名な名字を持つ19歳の若者は、キャリア初の主要タイトルについて「気持ちが良いし、僕らのやってきたことの正しさが証明された」と所属するプレマ・パワーチーム(Prema Powerteam)のサポートへの感謝を口にした。

 また今回のF3優勝で、ミックはF1参戦に必要な国際自動車連盟(FIA)の「スーパーライセンス」の取得条件を満たした。F2へカテゴリーを上げるか、それとももっと上を目指すかは検討中のようで、今後については「まだ決めていない」と答えたミックだが、すでに話し合いを進めていることは明かしている。

 ミックの活躍で、F3に対する注目度も急上昇しており、13日夜にはドイツ公共放送ZDFがミックへのインタビューを生中継した。ただし、父親の現状については触れなかった。

 2013年12月にスキー中の事故で頭部に重傷を負ったミハエル氏は、それ以降、公の場に姿を見せておらず、家族は49歳となる同氏の現状について固く口を閉ざしている。(c)AFP