【10月19日 CNS】中国・国慶節の連休期間、中国人が海外旅行に出かけた目的地の中で最も人気の高かった国は日本だった。中国の訪日観光客は依然として増加傾向ではあるが、旅行スタイルは変化しつつあるようだ。

 来日した中国人観光客が一度に大量の商品を購入する行為として、「爆買い」という言葉が生まれた。観光客は銀座の大通りで、大きなスーツケースを引きながら買い物をする映像などがメディアでよく報道されたが、近年はそういった報道は少なくなった。記者も今年の国慶節期間には、銀座や秋葉原など中国人観光客が多く集まる買物スポットを訪れたが、この数年と比べても、荷物を抱えながら躍起になって買い物にいそしむ中国人観光客を見ることは確かに少なくなった。

 北京から来た崔楠(Cui Nan)さんの東京旅行の目的は、「文化体験」がメインだった。

 東京国立博物館(Tokyo National Museum)、東京都写真美術館(Tokyo Photographic Art Museum)などの文化施設へ訪問スケジュールに入れ、特に80年の歴史がある築地市場(Tsukiji Market)へ訪れたときには写真愛好家としてたくさんの写真を撮ったという。

「今回の旅行の一番の収穫は、文化の違いを肌で感じることができたこと。今後は京都や大阪など、日本の伝統文化が多く残る都市に行ってみたい」と崔さんは言う。

 日本生活10年目を迎えた北海道の王妹(Wang Mei)さんによると、北海道がロケ地になった中国映画『非誠勿擾(邦題:狙った恋の落とし方。)』が大ヒットしてから、北海道を訪れる中国人観光客がとても増えたという。

「東京や大阪のようなにぎやかな大都市と比べて人口が少なく、手つかずの自然が残る景色の良い北海道は多くの中国人を魅了しているし、リピーターも特に多い。一定期間滞在し、ある程度堪能したら別の場所へ移動するという個性重視の自由旅行がほとんど」と話す。

 三重県観光局海外誘客課の松本課長は記者の取材に対し、「近年、三重県に来る外国人観光客の中でも中国人観光客が最も多く、昨年は約40%近くを占めた」と話す。東京、大阪など日本の人気観光地と比べると、三重県は中国人観光客にはあまり知られてない場所だ。これについて松本課長は、「各地域にはそれぞれの特徴があり、また日本は交通機関も発展しているので、人気観光地と周辺地域をセットにした旅行プランも流行し始めている。三重県は、大阪や京都、名古屋からも近く、グルメでは松坂牛、伊勢海老などがあり、『伊賀忍者』の文化や伊勢神宮など非常に価値のある文化コンテンツがある。これらが中国人観光客の間で広く知られるようになれば、三重県ももっと人気が出るだろう」と話している。(c)CNS/JCM/AFPBB News