【10月11日 AFP】人類の約3分の1が感染し、数千万人を死の床に追いやった1918年のスペイン風邪は、第1次世界大戦(World War I)後の混乱が続く世界に終わりをもたらすものと恐れられ、人々はパニックに陥った。

 この感染症の大流行から100年が経過した。科学者らは、史上最悪の死者を出したこの病から世界は教訓を学んでいるとしているが、それでも次に来る大規模な感染に対しては準備不足である事実は否めないと警告する。

 とりわけ、人口動態の変化や薬剤耐性菌、気候変動などは、未来の大流行をより複雑にすると考えられている。

 豪メルボルン大学(University of Melbourne)ピーター・ドハーティ(Peter Doherty)感染免疫研究所のキャロリン・ファン・デサント(Carolien van de Sandt)博士は8日、「われわれは高齢化社会や、肥満や糖尿病といった基礎疾患など、新たな課題に直面している」とAFPの取材に述べた。

 科学者らの予測によると、次の世界的なインフルエンザ大流行では、約1億5000万人が死亡する恐れがあるという。想定されているのは、鳥インフルエンザ(H7N9)で、最初の感染をきっかけに一気に大流行することも考えられるという。

 デサント氏の研究チームは今回、1918年に世界的に猛威を振るったスペイン風邪に関する膨大なデータを調べた。その他、1957年の「アジア風邪」、1968年の「香港風邪」、さらには2009年のブタ由来のインフルエンザの大流行についても調査した。

 調査の結果、スペイン風邪では3人に1人が感染したが、多くは重い感染症を乗り越えており、また大半は軽い症状を示しただけで済んでいた。

 当時、戦時の検閲の影響から、多くの国では感染症流行の報道は統制されたが、中立を保ったスペインだけがこれを報じた。そうした理由から、感染症がスペインから発生したとの印象を与えることとなり、大流行の名称にもスペインの国名が付けられた。

 1918年の感染については、米兵の間で広まったとの見方が現在では定着している。当時、亡くなった米国人の若者が不相応に多かったのだ。

 しかし、未来の感染症の流行については、スペイン風邪の時とは異なるパターンを示すだろうと専門家らは考えている。

 当時、世界の国は大戦の影響で経済的に苦しく、栄養失調に苦しむ人も多かった。こうしたことが感染症の致死性を高めた。だが、フロンティア(Frontiers)の学術誌「Cellular and Infection Microbiology」に掲載された最新の研究論文では、感染症の次の大流行について、肥満や糖尿病を患う、先進国の人々の間で広まるだろうとの見方が示されている。