【10月11日 AFP】報道の自由への懸念を呼ぶ出来事が相次ぐミャンマーで10日、アウン・サン・スー・チー(Aung San Suu Kyi)国家顧問の側近が地域首相を務めるヤンゴン(Yangon)管区での財政運営をめぐり、批判記事を掲載した新聞の編集長ら3人が警察に逮捕された。記事はこの側近が所管する最大都市ヤンゴンのバス交通計画を取り上げていた。

 逮捕されたのは、新聞の発行元「イレブンメディア(Eleven Media)」で編集長を務めるチョー・ゾー・リン(Kyaw Zaw Lin)、ネイ・ミン(Nayi Min)の両氏と、報道部長を務めるピョー・ワイ・ウィン(Phyo Wai Win)氏。3氏は10日午前、手錠を掛けられて出廷し、聴聞後に拘置所に移送された。

 弁護人のチー・ミン(Kyee Myint)氏はAFPに対し、今回の訴追は、ヤンゴン市のバス交通網の財源に関する3日の記事に絡んで行われたと指摘した。この計画は、スー・チー氏の側近であるピョー・ミン・テイン(Phyo Min Thein)ヤンゴン地域首相が所管している。

 記事の掲載に「公衆に恐怖または不安」を引き起こす意図または可能性があったと裁判所が判断した場合、被告らは罰金と最高2年の禁錮刑を受ける可能性がある。

 ミャンマーでは長期にわたり、曖昧で時代遅れの法律の下でメディアが訴追される事例が続いており、人権団体は今回の逮捕を批判している。

 同国では先月、ロイター通信(Reuters)の記者2人に禁錮7年の判決が言い渡されたばかり。公判中、被告らはわなにはめられたとする警官の証言があり、裁判は見せかけだったとの見方が広がった。

 スー・チー氏は9日公開されたNHKとのインタビューで、「ミャンマーには多くの報道の自由がある」と発言。同氏の政権を批判する人らに対し、ミャンマーで「報道機関が毎日何をしているのか調べる」よう促した。(c)AFP