【10月15日 AFP】男子テニス、上海マスターズ(2018 Shanghai Rolex Masters)は14日、シングルス決勝が行われ、大会第2シードのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は6-3、6-4で第13シードのボルナ・チョリッチ(Borna Coric、クロアチア)を下し、大会を制した。「ニュー」ジョコビッチは、次はラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)から世界ランキング1位を奪い返すことを目指す。

 大会を通じて盤石だったジョコビッチは、友人であり、練習で一緒に打つこともあるチョリッチに、この日も勝利のにおいすら嗅がせなかった。最後も映像判定の末にチャンピオンシップポイントがジョコビッチに入るという、本人も勘弁してくれと手で顔を覆うような地味な幕切れだった。

 ジョコビッチはすでに、15日に発表される世界ランキングでロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)を抜いてランク2位に浮上することが決まっているが、シーズンのクライマックスに向けて、そこで立ち止まるつもりはない。膝のけがで今大会と前週の中国オープン(China Open 2018)を欠場したナダルとのポイント差もわずかに215点となり、1位に返り咲いてのシーズン終了も見えている。

 ランク1位から2年間遠ざかっているジョコビッチは、ここにきての頂点への追い込みについて「これ以上の筋書きは望めない。ランキングでナダルともずいぶん近づいたし、1年の締めくくりの時期に向けて好位置につけている」と話した。

 好調のジョコビッチはこれで公式戦18連勝。この数か月でウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2018)、ウェスタン&サザンオープン(Western and Southern Open 2018)、全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)で勝利し、そして今回、4回目の上海マスターズ優勝を飾った。

 肘のけがなどもあって、2017年シーズンの後半を棒に振ったジョコビッチは、年明けに肘の手術を受けた後も状態が戻らず、わずか5か月前には世界ランクも22位まで下降していたが、その頃とはまったく別人のような姿を見せている。とりわけ光るのがサーブの安定感で、今大会はサービスゲームを1回も落とさなかった。

 手術後にプレースタイルを微調整したというジョコビッチは、「たぶん、みなさんが見ているのはニュー・ノバクなんだ」とコメントした。

「どういう人物かは説明不要だと思う。自分をつくり直し、なんというか、正しい成功の方程式を見つけ出す必要があった。そして見つかった以上、今後はできるだけ長くそれを維持したい」

 そして、ナダルに何かメッセージはあるかとのAFPの問いかけに対し、ジョコビッチは笑いながら「それは、あなたのクリエイティブなジャーナリズムにお任せする」と答えた。

 ナダルは、今月末に開幕するパリ・マスターズ(Rolex Paris Masters 2018)で復帰予定。ジョコビッチはナダルにさらなるプレッシャーをかけるため、同大会の前週に行われるスイス・インドア(Swiss Indoors Basel 2018)かエルステ・バンク・オープン(Erste Bank Open 2018)に出場する可能性があるという。(c)AFP/Peter STEBBINGS