【10月10日 AFP】着せ替え人形「バービー(Barbie)」は過去数十年にわたり、ビーチで遊ぶ美少女から科学者、米国の大統領までさまざまな役割を演じてきたが、バービーの発売元の米玩具大手マテル(Mattel)は9日、少年と少女の「夢の差」を埋めることを目的とした新キャンペーンを実施すると発表した。

 米ニューヨーク大学(New York University)の研究者と共同で推進する「ドリーム・ギャップ(Dream Gap)」プロジェクトは、幼い少女たちに自信を持ち、性別に基づくステレオタイプを受け入れないよう呼び掛けている。

 カリフォルニア州に本社があるマテルは「研究によれば、多くの女子は男子に比べて、5歳前後で自分の性別を格好良いと思わなくなり、自分の能力に自信を失い始める傾向にある」と指摘。マテルは今後、研究に出資しながら数年にわたりこのプロジェクトを通じて「女子支援周りのコミュニティーを組織していく」計画を明らかにした。

 マテルの新しい広告は「夢のギャップを埋めよう(Close the Dream Gap)」と書かれたプラカードを掲げる幼い少女たちを起用しており、バービーの「あなたは何にでもなれる(You Can Be Anything)」と呼び掛けるキャンペーンと連動させている。

 このキャンペーンは将来的に世界各地でもさまざまな連携を通じて、取り組みを拡大していくことを目指している。また「毎年、世界で人々を勇気付けている少なくとも10人の模範的な女性に焦点を当てていく」という。

 バービー人形の現実離れした細身の体形はしばしば、いまだネガティブなステレオタイプをとどめていると批判されているが、マテルは近年、現代的なイメージを作り出すことに力を注いでいる。2016年には長身、小柄、ぽっちゃりの3種類の体形のバービーを登場させ、肌の色も7種類に増やした。

 今年新たに登場したバービーの職業は「ロボットエンジニア」で、また「元気をくれる女性たち」と題した新シリーズには、飛行士の草分けだったアメリア・イアハート(Amelia Earhart)や、米航空宇宙局(NASA)の数学者として活躍した黒人女性キャサリン・ジョンソン(Katherine Johnson)さんをモデルにしたバービーが登場した。

 マテルのリサ・マクナイト(Lisa McKnight)上級副社長は「1959年以来、バービー人形は全ての少女がもつ無限の可能性を引き出してきた」と述べ、「幼い頃から女の子たちを力づければ、彼女たちがもつ潜在的な力をフルに開花させるきっかけになるだろう」と語った。(c)AFP