【10月10日 AFP】世界的なセクハラ告発運動「#MeToo(私も)」が、女性への性暴力が後を絶たないインドでもようやく広がり始めている。複数の女性記者がこのほど、大物記者出身の外務担当閣外相から性的嫌がらせ(セクシュアルハラスメント)を受けたと公表。映画界などでも女性が過去に受けた不適切な行為やレイプなどの被害を続々と訴え出ている。

「高級ホテルの一室で就職面接をされた」「職場で性的な誘いかけをしてきた」──。女性記者たちがツイッター(Twitter)で次々に非難している相手はM・J・アクバル(M.J. Akbar)氏(67)。インドの主要紙で編集幹部などを務め、現在はナレンドラ・モディ(Narendra Modi)政権で外務担当閣外相を務める人物だ。

 被害を最初に名乗り出たのはプリヤ・ラマニ(Priya Ramani)記者。昨年執筆した記事の中で、アクバル氏の名前を伏せて不適切な行為を受けたと告発していた。23歳だった約20年前、アクバル氏から就職面接のためにムンバイ(Mumbai)のホテルの一室に呼び出されたという。

 ラマニ記者は8日、アクバル氏による不適切な行為を告発する記事をツイッターに再投稿。その中でアクバル氏について「わいせつな電話やメール、不適切なお世辞の専門家で、嫌だと言っても耳を貸さない人物」と指弾。「あなたに対する告発には今なお重い代償を伴うので、大勢の若い女性が泣き寝入りしている」と強く非難した。

 AFPはインド外務省にコメントを求めたが回答はない。スシュマ・スワラジ(Sushma Swaraj)外相はこの疑惑について調査を行う考えがあるかという記者団の質問を無視した。

 インドではここ数日、性的被害を受けた大勢の女性がソーシャルメディアで加害者を告発し、被害者が自らの体験を訴え出やすい雰囲気が生まれつつある。これまでに、地位を乱用して女性に不適切な振る舞いをしたとされる人物には、ボリウッド俳優やコメディアン、著名記者らが含まれる。

 一連の動きのきっかけとなったとみられるのは、女優のタヌシュリー・ダッター(Tanushree Dutta)さんの行動だ。ダッターさんは、10年前に撮影現場で有名ボリウッド俳優のナーナー・パテーカル(Nana Patekar)氏に不適切な行為をされたと告発した。

 8日には、作家でプロデューサーのビンタ・ナンダ(Vinta Nanda)さんが、19年前に有名俳優からレイプされ、「際限なく暴力を振るわれた」と告白。同じ日には日刊紙ヒンドゥスタン・タイムズ(Hindustan Times)の政治担当編集者も性的不品行疑惑を受けて辞任に追い込まれている。(c)AFP/Abhaya SRIVASTAVA