【10月10日 AFP】フランスが1990年代まで南太平洋で繰り返し行った核実験は人道に対する罪に当たるとして、フランス領ポリネシアの野党指導者らが国際刑事裁判所(ICC)に提訴したことが分かった。オスカル・テマル(Oscar Temaru)元行政長官が9日、明らかにした。提訴は今月2日付。

 テマル氏は国連(UN)の脱植民地化をめぐる委員会会合で「われわれは10月2日、非常に大きな義務感と決意をもってICCに人道に対する罪に関する申し立てを行った」と述べた。

 訴訟の目的については「存命のフランス大統領経験者の全員にわが国で行った核実験に対する責任を負わせることにある」と説明。「核植民地主義の影響で亡くなったすべての人々のためにそうする必要がある」と強調した。

 フランス領ポリネシアには約29万人が暮らし、今ではタヒチ(Tahiti)島などの観光地として知られる。

 しかしムルロア(Mururoa)環礁やファンガタウファ(Fangataufa)環礁では、1990年代に当時のジャック・シラク(Jacques Chirac)仏大統領が終了を宣言するまで、30年にわたり通算193回の核実験が行われた。

 アフリカのサハラ砂漠(Sahara Desert)でのものも含めると、フランスは1960~96年に計210回の核実験を実施。参加した要員は民間人と軍人合わせて約15万人に上る。

 そのうち、大勢の人が後に深刻な健康問題に苦しむことになったが、フランス政府を訴えた被害者約1000人の中で補償を受けられた人はわずか20人ほどに過ぎない。

 フランスは東西冷戦(Cold War)中、核実験による健康と環境への影響を認めれば核開発計画に支障が出かねないとの懸念から長らく責任を否定してきた。

 フランスは2010年になってようやく、核実験によってがんを発症した可能性のある退役軍人と民間人に対する補償を認める法律を成立させた。(c)AFP