【10月9日 AFP】韓国大統領府は9日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長がローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王の訪朝を招請し、同法王を「熱烈に歓迎」する意向を示したと明らかにした。来週バチカン(ローマ法王庁)を訪問する文在寅(ムン・ジェイン、Moon Jae-in)大統領が、金委員長のメッセージを伝達するという。

 13日から21日まで9日間の日程で欧州を歴訪する文大統領は、17・18日にバチカンを訪問し、フランシスコ法王と会談する予定。

 金宜謙(キム・ウィギョム、Kim Eui-kyeom)大統領報道官は記者団に対し、文大統領が「フランシスコ法王との会談の中で、法王の平壌訪問が実現すれば熱烈に歓迎するとの金正恩委員長からのメッセージを伝える」と述べた。

 文大統領は、バチカンに加え、フランス、イタリア、デンマークも訪問することになっている。

 先月に平壌で行われた直近の南北首脳会談では、文大統領に韓国の金喜中(キム・ヒジュン、Kim Hee-joong)大司教が同行。

 金報道官の話では、金委員長は同大司教と面会した際、平和構築という自身の意志をバチカンに知らせてほしいと強く求めたという。

 北朝鮮の憲法では、信教の自由が保障されているものの、あらゆる宗教活動が非常に厳しく規制されており、国家が認める機関外での活動は一切禁止されている。

 朝鮮半島(Korean Peninsula)が分断される前の20世紀初頭、同域の布教活動の拠点となっていた平壌には多数の教会や活発なキリスト教コミュニティーが存在し、「東洋のエルサレム」とも呼ばれていた。

 しかし、北朝鮮建国の父で金委員長の祖父に当たる故金日成(キム・イルソン、Kim Il-Sung)国家主席が、キリスト教を自身の独裁体制にとっての脅威とみなし、信者らを処刑したり労働収容所へ収監したりして弾圧した。(c)AFP