■遠隔地の小さなコミュニティーならではの難しさ

 ここでの仕事は、一体どのようなものなのだろうか?

 この問いに対しパーセルさんは、「犯罪とは無縁」と答え、大半は、初期対応に関するものだと説明した。

「ここでの仕事は主に、人々が無事に過ごすことができるよう気を配ることだ。(乗り物の)故障や病気、事故といった事態に備えておく必要がある」

 最もよく発生するのは車両の横転事故だが、上空でペリカンと衝突し車輪が外れてしまった飛行機の対応に当たったこともあるという。

 パーセルさんの管轄区域は24万平方キロメートルにも上るため、地元コミュニティーの協力は必要不可欠だ。救援活動に看護師や整備士、先住民のレンジャーら、地域住民らが加わることもある。もちろん、数百キロ離れた別の警察署から応援が駆け付けることもある。

 バーズビルでは、年に2回、大きなイベントが開催される。1世紀の歴史を持つ競馬大会と「ビッグレッドバッシュ(Big Red Bash)」音楽フェスティバルだ。イベント開催時には、こうした応援が不可欠となる。

 パーセルさんの前任者で、以前バーズビルを担当していたニール・マックシェーン(Neale McShane)氏は、この仕事には素晴らしい点がたくさんあると話し、「砂漠に寝転んで星を見上げていると、手が届きそうなくらい近く感じる」とその一例を挙げた。

 だが遠隔地の小さなコミュニティーならではの難しい部分もやはりあり、微妙な個人的な問題の扱いには特に苦労すると語った。

■孤独ではない

 意外なことに、孤独と感じたことはあまりないとパーセルさんは話す。

 地元メディアが、この地域で「孤独な仕事」に当たる人物としてパーセルさんを紹介して以後、署に立ち寄って話をしていく人が増えたのだという。

「皆、おしゃべりするためだけにやって来る。私が寂しがっていると思っているからね」「私たちはここで孤独や寂しさを感じたことは一度もない。小さいが素晴らしい町だ」とパーセルさんはうれしそうに答えた。(c)AFP/Glenda KWEK