【10月7日 AFP】ボスニア・ヘルツェゴビナでは7日、同国最高位の公職で、3民族の代表で構成される幹部会から地方議会まで、さまざまなレベルの選挙が実施されている。だが今回の選挙に先立ち、同国のある村の住民たちは、政府の度重なる公約破りにうんざりし、政治家らの立ち入りを禁止した。

 だが数十年にわたって国家がまひ状態にあるボスニア・ヘルツェゴビナでは、大きな変化を期待している有権者はほとんどいない。

 首都サラエボから約30キロ離れた人口700人のポドゥゴラ(Podgora)村では、「あなたたちは長年の間われわれにうそをついてきた。ポドゥゴラではどの政党も歓迎しない」と書かれた白い横断幕が広場に掲げられている。

 イスラム教徒が暮らすポドゥゴラの村人たちも、国民の多くがそうであるように、汚職と機能不全で悪名高い支配層に幻滅している。

 失業中だという47歳の男性は、政治家の立ち入り禁止を支持する理由について尋ねると、「うそはもうたくさんだ!」と返答。「票を確保するために毎回やって来ては、話をしていくことにうんざりしている」「選挙があった次の日には毎回、何事もなかったかのような、私たちに会いに来たことなどなかったかのようだ」と説明した。

 横断幕の警告を気にしない選挙運動員も少数ながらおり、村内に選挙ポスターを張っていくこともあったが、住民によってすぐにはがされた。

 さらに警告を強調するために、横断幕の裏側にはスプレーで「(警告を)読みましたか? もう十分です」とのメッセージが走り書きされていた。

 横断幕の費用は村人たちが50ユーロ(約6600円)を出し合って工面。ほとんどが失業中で、小さな農場で野菜や家畜を育ててなんとか生計を立てている村人たちにとっては大金だという。(c)AFP/Rusmir SMAJILHODZIC