【10月7日 AFP】ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン(North Rhine-Westphalia)州で6日、大勢の反石炭活動家が、エネルギー大手RWEが露天掘り炭鉱を拡張するためハンバッハ(Hambach)の森で計画していた伐採を裁判所が差し止めたことを祝った。

 ハンバッハの森はケルン(Cologne)近郊に昔からある森。活動家たちが6年間にわたって占拠してきたことで、同国の石炭エネルギーに対する抵抗の象徴となった。ドイツは環境に優しい国と評判だが、今も汚染をまき散らす化石燃料である石炭に大きく依存している。

 同州ミュンスター(Muenster)の裁判所が5日、RWEの森林伐採計画をめぐる環境訴訟の審理にはさらなる時間を要すると判断したことを受けて、初秋の日差しの中、老若男女がハンバッハの森のそばの野原に集まった。「ハンビー・ブライプト!(ハンバッハの森は残る!)」とシュプレヒコールを上げたり、大騒ぎをしたり、生演奏や演説が行われたりと、お祭りのような雰囲気だった。

 同州史上最大の反石炭集会と銘打たれたこのデモには、主催者発表で5万人が参加した。この数字について警察の確認は取れていない。

 森林を所有するRWEが、現在も残っている200ヘクタールの森のうち半分の伐採を今月15日に始めると発表し、残された時間は少ないとみられていた。警察は先月、活動家らの強制退去に着手し、3週間かけてツリーハウスの解体などを行った。これを受けて、活動家らが掲げる目標に市民たちから共感が寄せられた。先月19日には、強制退去を取材中のフリーランス記者が、2本の木の間につるされた通路から転落死する悲劇も起きた。

 RWEは、ノルトライン・ウェストファーレン州の石炭火力発電所に燃料を供給するためにハンバッハ炭鉱の拡張が必要だと訴えてきた。同州の石炭火力発電所は欧州連合(EU)で有数の汚染源でもある。しかし裁判所は、電力を確実に供給するためには新たな森林伐採が早急に必要だというRWEの主張は十分に証明されなかったと判断した。RWEが5日、この環境訴訟が最終的に決着するのは2020年後半になるとの見通しを示すと、同社の株価は急落した。

 ドイツではエネルギー源の約40%を石炭が占めている。ドイツで排出される二酸化炭素のかなりの部分は石炭によるものだ。(c)AFP/Michelle FITZPATRICK