【10月7日 AFP】五輪の実施競技から除外される可能性が取り沙汰されているボクシングについて、国際ボクシング協会(AIBA)の暫定会長を務めるガフル・ラヒモフ(Gafur Rakhimov)氏がAFPの質問状に回答し、「国際犯罪組織と関わったことなど一切ない」と疑惑を否定した。暫定会長は、自身が「混乱の収拾」に努めており、間もなく行われる会長選挙で「唯一の立候補者でないことを願っている」と主張している。

 この件では、国際オリンピック委員会(IOC)が3日、「会長選の候補者リスト作成に至った状況」など、AIBAのガバナンスに関する懸案事項を列挙し、11月頭に実施される会長選に向けてラヒモフ氏以外の立候補者がおらず、規定に従って同氏が無選挙で当選する見通しであることを問題視した。そして5日にはAIBAとの「接触を凍結」し、6日にアルゼンチンのブエノスアイレスで開幕した夏季ユース五輪への派遣を認めないと発表していた。

 これに対し、2017年に資格停止処分を科された呉経国(Wu Ching-kuo)前会長に代わり、今年1月に暫定会長に就任したラヒモフ氏は、前会長らのつくったルールに足を取られていると述べ、「前会長と事務局長が準備し、施行した異様な規定には、AIBAを組織上層部が私物化する狙いもあった」、「われわれ新運営陣は、来月の総会までこうした規定を変更できない。権限を持つのが総会だけだからだ」と答えた。

 さらにラヒモフ氏は、AIBAの選挙委員会の活動に介入する力は自分にはないと主張し、「弁護士や管理部と相談の上、全力で疑惑や疑問を振り払い、可能であれば立候補者を増やすことを目指す」とつづった。

■誤った情報が提供された

 8月には、IOCの倫理・コンプライアンス局のパケレット・ジラール・ザペッリ(Paquerette Girard Zappelli)局長からラヒモフ氏に対する書簡が届き、「米国財務省がラヒモフ氏について、二つの犯罪組織の一員である、またはそれらとつながりがあると判断した」ことが伝えられた。

 ラヒモフ氏はこれについても、「もちろんとても悲しいし、ストレスを感じている。特に家族がそうだ」と回答。「どんなに不当で侮辱的に思えたとしても対処せざるを得ないし、その作業に私が時間とエネルギーを取られるのは、AIBAのためにも、世界各地のボクサーのためにもならないと感じた。そんなことより、私は前運営陣が放置した混乱の収拾に日夜取り組みたい」と続けた。

「もちろん、国際犯罪組織や、ちまたで言われているような者たちと関わり合いをもったことなど一切ない。それが真実だ」と答えた会長は、それらがウズベキスタン国内の政敵によってつくられたイメージだと主張し、彼らが「私に関する誤った情報の数々を米国財務省に提供した」と述べている。

「そうしたリストから外れるのは容易ではない。それでも私は、間違いが今後3か月から6か月で正されることに十分な自信を持っている」 (c)AFP/Eric BERNAUDEAU