【10月5日 AFP】元自転車ロードレースのフロイド・ランディス(Floyd Landis)氏が、ランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏の薬物違反を告発した際に受け取った巨額の和解金を元手に、北米を拠点とするサイクリングチームの設立を目指していることが判明した。米紙ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)が4日、報じた。

 アームストロング氏がキャリアを通じて運動能力向上薬を使用していたことをランディス氏が公表したことによって、この問題はサイクリング史上最大のスキャンダルに発展し、通算7度のツール・ド・フランス(Tour de France)制覇を成し遂げた王者の名誉は失墜した。

 ドーピングをしながら数百万ドルのスポンサー料を受け取っていたとして、アームストロング氏は当時の所属チームである「USポスタルサービス(U.S. Postal ServiceUSPS)」のスポンサーだった同国郵政公社(USポスタルサービス)に訴えられ、500万ドル(約5億7000万円)に及ぶ和解金の支払いに応じた。ランディス氏は手元に約75万ドル(約8500万円)の資金が残っていると、同紙に明かしている。

 2006年のツールで総合優勝を果たした後、自身もドーピングを認めてタイトルを剥奪された42歳のランディス氏は現在、和解金の分け前を利用して若手ライダーの支援を目的としたチームづくりを計画しており、これによって自分の「幕引き」にしたいとしている。

 ランディス氏は同紙に対して、「ご存知の通り、私はサイクリング界と対立関係にある。しかし、まだこのスポーツに対する思いがある」「それから、今でも国内のチームで戦っていたことを思い出す。それは、自分の人生で最高の日々だった」と述べた。

「私は起きてしまったことを悔やんでいるが、二度と過去には戻れないし自分の決断を変えることも不可能だ。せめて、私が前進しようとしている姿を見てもらえる」「奇妙に聞こえるかもしれないが、これは私にとって幕引きのようなものだ」

 報道ではまた、ランディス氏のチームは下部レベルのプロ大会から参戦し、才能ある若手をトップレベルで戦えるようにすることが目標であるとつけ加えられていた。(c)AFP