【10月5日 AFP】フォーミュラワン(F1、F1世界選手権)に参戦するフェラーリ(Ferrari)のセバスチャン・ベッテル(Sebastian Vettel)は4日、第17戦日本GP(Japan Grand Prix 2018)を前にタイトル争いでメルセデスAMG(Mercedes AMG)のルイス・ハミルトン(Lewis Hamilton)に大きく水をあけられているものの、チームが方向性を失っているとする指摘を一蹴した。

 ドイツ出身のベッテルは、前週の第16戦ロシアGP(Russian Grand Prix 2018)決勝でメルセデスにワンツーフィニッシュを許して3位にとどまり、ハミルトンが直近の6レースで5勝を記録するのを目の当たりにしたが、そうしたふがいない状況にも前向きな姿勢を貫こうとしていた。

 今季残り5戦となった現時点でハミルトンに50ポイント差をつけられているベッテルは、開き直った様子で「僕らは方向性を見失ってはいない」、「チームは進化している。計画通りにステップを踏み、そうやって達成したステップだ。ステップの大きさは大小あれども、思い通りのところまできている」とコメント。その一方で、「僕らには強いマシンがあるけれど、今年はどの時点においても圧倒的に強いマシンだったとは思っていない」と分析した。

 ハミルトンの通算5回目の世界制覇を阻止するため、今週末鈴鹿サーキット(Suzuka Circuit)で開催される日本GPでいちかばちかの勝負に出るのか問われると、ベッテルは慎重な姿勢を示して「一発勝負のアプローチは好きではない」と回答。ハミルトンの最近の勝利数についても、「そんなことは、まったく意識していない。6戦中5勝なんて知らなかった」とかわした。

「今知ったように、数字は数えないことが秘訣さ。毎週アタックするだけだ。レースは毎週違うし、サーキットも違う。状況はレースごとに違うものだ」

「ここ(鈴鹿)は世界で最も好きなサーキットだ。だから楽しみたいし、自分にとって不利なことを数え始めてレースを台無しにしたくない」

 ロシアGPではメルセデスがトップを走っていたバルテリ・ボッタス(Valtteri Bottas)に対し、ハミルトンに順位を譲るようにチームオーダーを出して物議を醸した。ベッテルはハミルトンがそうした形で勝利を記録したにもかかわらず、陽気な雰囲気を崩さずに「レースでのスピードは、僕らが相手に近づいている」、「一週間で大きく変わることは不可能だけれど、このサーキットでは僕らに分があることを願おうじゃないか」と話した。

 ハミルトンと並び日本GPで通算4勝を記録しているベッテルだが、今季はライバルの8勝に対して5勝にとどまっており、激しいポイントランキング争いで後塵(こうじん)を拝していることについて厳しい自己評価もしている。

「先週のレースでは、僕よりも彼の方が楽しんだことは確かだ」「サイドバイサイドの戦いはタフだったし、ずっと苦戦を強いられているけれど、彼と同じように楽しんではいない。トップに立てれば、より一層、自然に楽しめるものだ。今週は僕らが少し近づけることを願っている」

 レッドブル(Red Bull)時代の2010年から2013年まで4年連続で世界王者となったベッテルは、鈴鹿ではDRS(ドラッグ抑制システム)の使用可能ゾーンを増やすべきかどうかについて、ゲームを例えに出す独特の考えを示した。

「自分は好きではない。人工的なものだからね」

「今度のレースは日本だから、マリオカート(Mario Kart)みたいにコックピットからバナナを投げる方がもっと楽しめるかも。その方が、アイデアとして優れている」 (c)AFP