【10月3日 AFP】イラク議会は2日夜、穏健派のクルド人、バルハム・サリフ(Barham Saleh)氏を新大統領に選出した。サリフ新大統領は、サダム・フセイン(Saddam Hussein)政権転覆後のイラク政界の重鎮アディル・アブドルマハディ(Adel Abdel Mahdi)元副大統領を新首相候補に指名し、組閣を命じた。

 議会で行われた大統領を選出する投票では、イラクのクルド自治区で昨年9月に実施された同国からの独立の是非を問う住民投票の後としては初めてクルド人の大物政治家同士が争い、サリフ氏が対立候補のフアード・フセイン(Fuad Hussein)氏を219対22で下した。

 フセイン氏の敗北は、同氏の後ろ盾で、昨年9月の住民投票を主導したマスード・バルザニ(Massud Barzani)前クルド自治政府議長にとって痛手となった。

 クルド自治区では、先週末に自治議会選挙が行われたばかり。クルド自治区は、昨年9月の住民投票を受けて中央政府が科した懲罰的措置の影響を今も引きずっており、経済危機の真っただ中にある。

 イラク大統領の役割の大半は儀礼的なもので、フセイン政権崩壊後初の選挙となった2005年の議会選以降、クルド人が務めている。イラクでは議会議長は少数派であるスンニ派(Sunni)に、大統領はクルド人に、首相は多数派のシーア派(Shiite)にそれぞれ割り当てられることになっている。(c)AFP/Ammar Karim