【10月3日 AFP】今年6月末にパリ近郊で開かれたイラン反体制派組織の集会を狙った爆弾攻撃未遂事件で、フランス政府は2日、イランの情報省が背後にいたと断定して非難し、イランの工作員と疑われる2人や同省の複数の職員の資産を凍結すると発表した。イラン側はフランス側の主張を否定する一方、対話を呼び掛けている。

 標的とされたのは、イラン政府から「テロ組織」と見なされているイラン反体制派組織「ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MKO)」が6月30日に開催した集会。およそ2万5000人が集まり、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の顧問弁護士を務めるルドルフ・ジュリアーニ(Rudy Giuliani)元ニューヨーク市長ら米国の有力者も参加した。計画に絡んでイラン人外交官を含む複数の容疑者が身柄を拘束された。

 フランスの内相と外相、経済・財務相は2日、「わが国の領土に対するこの極めて深刻な行為には対応せざるを得ない」とする声明を出し、イラン情報当局者の資産凍結という対抗措置に踏み切った。3相連名の声明は異例。

 フランスの外交筋によると、情報当局が攻撃はイラン情報省の作戦部門の幹部が命じたものだったと結論づけたという。

 フランス側の措置について、イラン外務省のバフラム・ガセミ(Bahram Ghasemi)報道官はAFPの取材に「ありもしないこと、それが他者による陰謀か間違いであっても、誤解があるのであれば膝を突き合わせて話し合えるはずだ」と述べ、フランス側に対話を求めた。

 フランスは米国が離脱したイラン核合意ではイランを支持しているが、シリアやイエメンの内戦などをめぐってイランと対立している。今回の措置により両国関係が緊張する可能性もある。

 イランへの圧力を強めている米政府もフランスの対応を受けてイランに新たな警告を発した。米国家安全保障会議(NSC)は「こうした言語道断な行為は許されないとテヘランは知るべきだ」とツイッター(Twitter)に投稿。米国務省のヘザー・ナウアート(Heather Nauert)報道官は記者会見でイランは「世界一のテロ後援者」だと重ねて批判した。(c)AFP