【10月3日 AFP】米国選抜と欧州選抜による男子ゴルフの対抗戦、第42回ライダーカップ(The 42nd Ryder Cup)で、選手の打球が当たって失明した観客の女性が、大会主催者に対して正式に訴訟を起こした。

 大会を観戦するため、エジプトからフランスを訪れていたコリーヌ・レマンデ(Corine Remande)さん(49)は、初日となった28日の6番ホールで、米国選抜のブルックス・ケプカ(Brooks Koepka)のフェアウエーを外れたティーショットが顔に当たり、右目の視力を失うことになった。

 レマンデさんは2日、仏リヨン(Lyon)で訴訟を起こした。AFPが確認した訴状には、「安全ルールの不備」に対する責任が主催者にあり、「打った選手は英語で『ボール』や『フォアー』と叫ぶべきだった。距離を考慮すれば、スチュワードはその情報をグリーンまで伝達すべきだった」と記載されている。

 リヨンの病院で眼窩(がんか)骨折と眼球破裂と診断されたレマンデさんは1日、ギャラリーの中にボールが飛び込んでくる前に大会スタッフから警告がなかったのは「明らかに主催者側の責任」と話していた。

 これに対して、大会を管轄する欧州ツアー(EPGA)はレマンデさんを「引き続きサポートする」と話しつつ、警告は行っていたと発表している。

「『フォアー』と何度か叫んでいたのは確認していますが、同時にいつ、どこにボールが落ちて来るかを観客が毎回見極めるのは非常に難しく、そのことはわれわれも承知しています」「観客にボールが当たり、それが長期的な影響をもたらしたのは遺憾です。時折起こることではありますが、これだけの事故になるのは極めてまれです」

 大会側はレマンデさんの家族と連絡を取り合っており、「パリからリヨンへの交通手段の提供など、帰国に向けた移動」の手助けをしているという。主催者は「必要に応じて引き続きサポートを行います。この件にはわれわれも非常に心を痛めており、観客の女性のサポートに全力を尽くしたいと考えています」と話した。(c)AFP