【10月2日 AFP】国際司法裁判所(ICJ、オランダ・ハーグ)は1日、南米の内陸国ボリビアが太平洋へのアクセスをめぐり隣国チリに交渉に応じるよう求めた訴訟で、チリ側に交渉に応じる義務はないとの判決を下した。この問題はボリビアが19世紀末にチリとの戦争に敗れて「海への出口」を失った後、両国間の懸案となっている。

 ボリビアはペルーと組んで1879~1883年にチリと繰り広げた戦争(「太平洋戦争」、War of the Pacific)で負け、太平洋とボリビアを結ぶ貴重な沿岸ルートを失った。以後、ボリビア側は沿岸地域を取り戻そうと試みてきたが、国力で上回るチリ側からことごとく退けられてきた。

 両国はボリビア側が求めた交渉がチリ側に断固拒絶された1978年に断交。ボリビア政府は2013年、沿岸部の領有権をめぐりチリ政府を交渉のテーブルに着かせることを求めてICJに提訴に踏み切っていた。

 しかしICJは1日、チリに交渉に応じる法的義務はないとの判断を12対3で示した。ただ、アブドゥルカウィ・アハメド・ユスフ(Abdulqawi Ahmed Yusuf)判事は判決言い渡しの締めくくりに「双方の意向によって、意義のある交渉が行えるようになることを望んでいる」とも述べた。

 4期目を目指すボリビアの左派エボ・モラレス(Evo Morales)大統領は、この問題を利用して支持率を高めようとしてきた。判決を聴くために法廷を訪れたモラレス氏は記者団に「ボリビアは決してあきらめない」と強調。「ボリビアが侵略され、太平洋へのアクセス権を奪われたことは世界中の人々が知っている」と訴えた。

 一方チリのセバスティアン・ピニェラ(Sebastian Pinera)大統領は「裁判所は正当な態度で物事をあるべきところに収め、チリには海への出口をめぐって交渉に臨む義務がないことを明確かつ断定的に示した」と判決を評価した。

 ICJは第二次世界大戦後、国連(UN)加盟国間の紛争で裁定を下す目的で設立された。判決は法的拘束力を持ち、上訴は認められていないが、判決を強制する力はない。(c)AFP/Jan HENNOP and Danny KEMP