【9月27日 AFP】英南部を流れるテムズ川でシロイルカ(ベルーガ)が泳いでいるのが見つかり、話題を呼んでいる。目撃されたのはロンドンにほど近い河口付近。シロイルカは通常、北極海に生息しており、英国内で目撃された場所としては記録にある限り最も南だという。

 シロイルカが最初に目撃されたのは25日。翌日も同じエリアの川面に姿を見せ、AFPのカメラマンも写真に収めた。

 英王立動物虐待防止協会(RSPCA )は26日、シロイルカは「力強く泳ぎ、普通に餌を食べていた」と説明。体調については「現時点では大きな心配はない」としている。

 ロンドンの沿岸警備隊は同協会からの要請を受けて、シロイルカに船舶が近づかないようにする措置を取っている。シロイルカを含むクジラ類は「音に敏感で、ストレスを非常に受けやすい」(同協会)という。

 観察を続けているクジラ・イルカ保護協会(WDC)のロブ・ロット(Rob Lott)氏も「テムズ川の河口付近に長くとどまれば、憂慮すべき事態になってくる」と案じている。

 シロイルカの寿命は40~60年。社交性が高く、通常は小さな群れで生活する。夏になると河口で目撃されることも多いが、アイスランドから1600キロも南方で目撃されるのは極めてまれだ。

 海洋保護団体「オルカ(Orca)」のルーシー・ベイビー(Lucy Babey)代表は英BBCに、英国内でシロイルカが目撃された場所としては、記録に残る限りでは今回が最も南だと話している。(c)AFP/Robin MILLARD