【9月27日 AFP】英南部ソールズベリー(Salisbury)で今年3月に起きたロシア人元二重スパイ暗殺未遂事件で、英国の検証サイト「ベリングキャット(Bellingcat)」は26日、容疑者の一人の身元について、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)の大佐だとする調査結果を明らかにした。

 ベリングキャットは、ネット上のデータを調べ上げてロシアによる他国の問題への関与を暴くことを専門とする組織。今回、英政府が事件の容疑者として特定している一人、ルスラン・バシロフ(Ruslan Boshirov)とされる男について、GRUの大佐の階級にあるアナトリー・チェピーガ(Anatoly Chepiga)だと突き止めた。

 ベリングキャットによると、男は英国内で極秘任務を行う際にルスラン・バシロフと名乗っていたという。ベリングキャットがウェブサイトに掲載した男の顔写真は、2003年からパスポートに使用されていたもので、英当局が提供した「バシロフ」の若い頃の顔に似ている。

 英保安局は今月、ロシア人元スパイのセルゲイ・スクリパリ(Sergei Skripal)氏と娘ユリア(Yulia Skripal)さんが神経剤で襲撃された事件の実行犯をバシロフ容疑者とアレクサンドル・ペトロフ(Alexander Petrov)容疑者と特定。ただ、名前については偽名の疑いが強いとしていた。

 両容疑者はこれらの名前でロシアのテレビ番組に出演し、ソールズベリーを訪れたのは観光目的だったと主張。「バシロフ」はGRUへの所属を否定し、「フィットネス業界」で働いていると語っていた。

 ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は今月、2人のことは知っているが、「当然、民間人だ」と述べている。(c)AFP