【9月26日 AFP】米政府は25日、ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領に対する圧力を強化する措置として大統領夫人と側近らに制裁を科すと発表するとともに、マドゥロ政権の脆弱(ぜいじゃく)性についても厳しい警告を発した。

 米財務省は元検事総長で大統領夫人のシリア・アデラ・フローレス・デ・マドゥロ(Cilia Adela Flores de Maduro)氏とデルシ・ロドリゲス(Delcy Rodriguez)副大統領を、マドゥロ氏の権力維持を支援したとして新たな制裁対象に指定した。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領は「抑圧的」なマドゥロ政権が、かつては豊富に原油を産出していたベネズエラに「人道的悲劇」をもたらしていると述べ、「軍がそうすると決断すれば、政権は軍によってすぐにでも倒される」と言明。しかし米軍が介入する可能性については言及しなかった。

 国連総会(UN General Assembly)に合わせてベネズエラの隣国コロンビアの大統領と会談したトランプ氏は、「軍事について話すのは好きではない。それについては言わない」とコメントした。

 この件は米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が今月報じた記事によって取り扱いがさらに難しい問題になっている。同紙によるとトランプ政権の複数の高官がベネズエラ軍関係者らとこれまでに3回会ってマドゥロ大統領に対するクーデター計画について協議したが、計画は棚上げになったという。

 国連で演説したトランプ氏はベネズエラで「現在人道的な悲劇が発生している」「マドゥロ大統領の社会主義体制とその後ろ盾であるキューバによって生じた激しい苦悩から逃れようと200万人以上が国外へ脱出した」と述べた。(c)AFP/Heather SCOTT