【9月25日 AFP】フランス政府は24日、2019年の予算案を発表し、法人税や住民税など計250億ユーロ(約3兆3000億円)規模の減税と、さらなる予算削減を行うことを明らかにした。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、雇用創出と成長拡大という公約実現に向け苦心している。

 世論調査によると、マクロン大統領の支持率はここ数週間で急落。また堅固な経済基盤を築くためには不可避だとして、ショック療法として提示された一連の改革にもかかわらず、成長も鈍化している。

 マクロン大統領は高所得者向けに減税する一方、高齢者に対して増税しており、これまでの政策からは大半の人が利益を享受していないという指摘も出ている。

 2019年の予算案では、年金と生活保護費がさらに減額される見通し。マクロン大統領は6月、社会保障に「異常な額」をつぎ込んでいると不満を漏らしていた。

 この他、4100人以上の公務員削減を計画している。欧州連合(EU)は国内総生産(GDP)に対する財政赤字の比率を上限3%と規定しているが、マクロン大統領はこれを下回る2.8%を目指す方針。

 燃料やたばこの増税も消費者に打撃を与えることになるが、予算案の柱は法人税の190憶ユーロ(約2兆5000万円)の減税と、住宅税の段階的な廃止を含めた個人に向けての60億ユーロ(約8000億円)の減税だと政府は説明する。

 ジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)公会計相は今回の減税について、「各世帯にとって、2008年以降で最大の減税になる」と強調した。

 その一方でブリュノ・ルメール(Bruno Le Maire)経済相は、マクロン大統領によるこれまでの改革路線の成果は「欧州の近隣諸国と比較して不十分」だと認め、「当然ここで終わりにするつもりはない」と意欲を示した。

 失業率は、マクロン氏が昨年5月に大統領に就任してからもほとんど改善が見られず、現時点で9.1%。我慢も限界という声が強まっている。(c)AFP/Joseph Schmid