【9月25日 AFP】米国務省は24日、ミャンマーのラカイン(Rakhine)州で政府軍がイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)を標的に大量殺人やレイプなど組織的な迫害を行っていたと結論付ける報告書を発表した。

 ミャンマーのロヒンギャ人口は大半が西部のラカイン州に集中している。だが、国民の大多数が仏教徒のミャンマーで、ロヒンギャの人たちは蔑視され国籍も与えられていない。

 米国務省の報告書は、隣国のバングラデシュへ逃れたロヒンギャ難民の成人1024人を対象に4月に実施した聞き取り調査を基にしたもの。既に複数の人権団体が公表している調査結果と内容は一致しているが、個々の事例の説明は個人的感情を抑制した記述となっている。特筆すべき点は、ラカイン州でのミャンマー軍によるロヒンギャ大量殺人について「集団虐殺」や「民族浄化」といった表現を用いていないことだ。

 報告書によると、調査対象となったロヒンギャ難民の82%が殺人を目撃し、51%が性的暴行が加えられていたと証言した。目撃者は複数の村に及ぶが、皆一様に、ミャンマー兵らが村の女性全員に家の外へ出るよう強要し、4~5人を選び出して野原や森、家屋、学校の校舎、モスク(イスラム礼拝所)、仮設トイレなどに連行して集団レイプしたと語っている。連行された女性の数を20人とするものや、兵士らは家々を回り「魅力的な」少女たちを選んで集団レイプしていたとの証言もある。全てではないが、レイプされた女性の多くはその後、殺害されたという。

 報告書は「ミャンマー軍の攻撃の範囲と規模からみて、作戦は綿密に計画された組織的なものだったと考えられる」と結論付けている。

 ロヒンギャ問題をめぐっては、国連(UN)も24日、ロヒンギャ難民支援に1億8500万ドル(約210億円)を拠出すると発表した。(c)AFP/Shaun TANDON