【9月22日 AFP】メキシコ西部ハリスコ(Jalisco)州の州都グアダラハラ(Guadalajara)で、遺体安置所が飽和状態となったために身元不明の遺体が冷凍トレーラーにのせられ、行く先々で異臭がすると住民から苦情を受けているニュースが報じられたことを受け、同国各地から今週、行方不明者の家族が集まっている。

 メキシコは麻薬カルテル絡みの暴力事件が後を絶たず、3万6000人超が行方不明になっており、「失踪者」の家族は数か月、さらには数年にわたり、実りのない捜索を続けている。国内第2の都市グアダラハラは、国内有数の巨大麻薬組織「ハリスコ新世代(Jalisco New Generation)」の拠点があり、とりわけ暴力事件が多発している。

 この問題では、同市内の遺体安置所が飽和状態であるため、市は代わりに大型冷凍トレーラーを借りて犯罪の犠牲者の遺体278体をのせ、市郊外の貧困地区に駐車させていた。しかし、悪臭やハエの問題、公衆衛生上の懸念を理由に住民から相次いで抗議の声が上がったため、トレーラーを市中心部にある検察の保管施設に移動させるとともに、知事が州の検察官や検視官を解任する事態に発展していた。

 このニュースに行方不明者の家族が反応。トレーラーの中に身内の遺体があるかどうか知りたいとして、国内各地から約100人がグアダラハラを訪れた。

「ぞっとするようなこのニュースを聞き、行ってみなければと言ったんです」と話すのは、行方不明になったきょうだいを12年間捜しているジャディラ・ゴンザレス(Yadira Gonzalez)さん(36)だ。ゴンザレスさんは、同国中部の都市ケレタロ(Queretaro)で行方不明者家族の会に入っている。

 ゴンザレスさんらは車で約5時間かけてグアダラハラにあるハリスコ州法医学研究所に駆け付け、家族の遺体がトレーラーの中にあるかどうかを教えてほしいと要求し、ピケを張った。

「私たちの家族はケレタロで失踪しましたが、この国のどこかにいると思うんです」と、ゴンザレスさんは話した。(c)AFP/Gabriel Serna