【9月22日 AFP】インド南部ケララ(Kerala)州で21日夜、修道女をレイプしたとして告訴されていたローマ・カトリック教会の司教が逮捕された。この事件は警察の怠慢が問題となり、修道女たちが怒りの抗議デモを行ったことで注目を集めていた。PTI通信(Press Trust of India)が報じた。

 PTI通信が現地警察のビジャイ・サカレ(Vijay Sakhare)氏の話として報じたところによると、フランコ・ムラッカル(Franco Mulakkal)司教は逮捕の前日、このスキャンダルをめぐり、ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王に職務を解かれていた。

 被害者の修道女は6月下旬、2014年から2016年にかけてムラッカル容疑者に13回レイプされたと告訴していた。しかしインドで最もカトリック教徒の人口が多いケララ州の警察は、9月に入るまでムラッカル容疑者の正式な取り調べを行わなかった。

 この警察の怠慢が怒りを呼び、修道女5人と支援者数十人が数日間にわたって抗議デモを行った。インドのカトリック教会で、内部から反発が出るのは異例。

 ムラッカル容疑者は容疑を否認し、捜査の間だけ一時的に職務を解くよう法王に書簡で求めていたが、フランシスコ法王は20日、ムラッカル容疑者を解任し、後任を任命した。被害者の修道女は、ローマ・カトリック教会のインド代表にも接触し、事件に対処するよう求めていた。

 インドのメディアにリークされた修道女の手紙によると、ムラッカル容疑者は「政治力と金の力を使って事件をもみ消そうとした」という。ムラッカル容疑者はこのスキャンダル全体がカトリック教会に反対する人物による陰謀と主張。所属する「キリスト教会の宣教者会(Missionaries of Jesus Church)」の信徒らの支持を勝ち取った。

 近年、ローマ・カトリック教会の聖職者が起こした性的暴行事件に教会上層部が十分な対応を取っていなかった事例が複数の国で次々に明るみに出ており、一大スキャンダルとなっている。(c)AFP