【9月24日 AFP】英情報機関が米政府のためにベルギーの国営通信事業者をハッキングしていたことが、ベルギー捜査当局の機密報告書から明らかになった。20日、関係筋がAFPに地元メディアの報道内容を認めた。緊密な関係を維持してきた同盟国間に、ほころびが生じる恐れがある。

 ベルガコム(Belgacom)に対するハッキングの事実は、米国家安全保障局(NSA)の元契約職員エドワード・スノーデン(Edward Snowden)容疑者が、2013年に米情報当局の広範なスパイ活動を暴露したことで発覚した。報告書は5年に及ぶ審問をまとめたもので、クーン・ヒーンス(Koen Geens)司法相に提出されたという。

 スノーデン容疑者は現在も国外逃亡生活を続けている。

 流出した大量のデータからは、NSAと諸外国の情報機関との緊密な協力関係も明るみに出た。その一つが、電子情報の収集活動を行っている英情報機関、政府通信本部(GCHQ)だ。

 スノーデン文書の中にあった約20枚のスライドから、GCHQのハッキングの標的が判明。そこにベルガコムの国際部門BICSがあったことから、ベルギーの捜査はGCHQに焦点が当てられた。

 BICSはアフリカや中東で大量の通話・データ通信を扱っているほか、欧州連合(EU)の諸機関をはじめ欧州域内にも多くの顧客を抱えている。ベルギー政府は国家安全保障会議でこの問題への対応を協議する方針だ。

 AFPはベルギー連邦検察と司法長官室に取材を試みたが、いずれもコメントを拒否した。(c)AFP