【9月21日 AFP】ボクシング、WBAヘビー級王者のマヌエル・チャー(Manuel Charr、レバノン)が、薬物検査でドーピングに陽性反応を示したため、次週に予定されていたタイトル防衛戦が中止を余儀なくされ、ベルトも失う見通しとなっている。

 レバノン出身で現在はドイツで暮らしている33歳のチャーは、29日に独ケルン(Cologne)で45歳のフレス・オケンド(Fres Oquendo、米国)を迎え撃つことになっていたが、二種類のアナボリックステロイドに陽性反応を示したことにより、試合は取りやめとなった。

 チャーはケルンの地元紙エクスプレス(Express)に対し、「現在の状況下では、残念ながら世界タイトル戦はキャンセルせざるを得なくなるだろう」とコメントし、同選手のマネジメント会社も独スポーツ通信社SIDに、タイトル防衛戦が消滅したと明言した。

 チャーは「私のファンとケルンの人々に対しては、とにかく私を信じて、すべての疑惑が晴れることを待っていてほしいとしか言いようがない。このニュースには、何から何まで衝撃を受けている。私は何も摂取したことはない」と語っている。

 独紙ビルト(Bild)をはじめ、エクスプレスや週刊誌デア・シュピーゲル(Der Spiegel)はこぞってチャーがステロイドのエピトレンボロン(epitrenbolone)とドロスタノロン(drostanolone)の陽性反応を示したと伝えている。ビルト紙はドーピングの専門家の話として、「これらは両方ともアナボリックステロイドであり、完全に悪質なドーピングだといえる。ボクサーにとっては筋肉を増強するものである」と報じた。

 今後は「B」検体が検査される予定となっているが、こちらにもステロイドが含まれていれば、チャーの将来は絶望的なものになるとみられる。

 チャーは昨年11月にロシアのアレクサンドル・ユスティノフ(Alexander Ustinov)に3-0の判定勝ちを収め、空位となっていたWBAのベルトを獲得した。

 チャーがそのベルトを失う可能性がある中、英国のアンソニー・ジョシュア(Anthony Joshua)は、英ロンドンで行われるアレクサンドル・ポベトキン(Alexander Povetkin、ロシア)戦で、同団体のスーパー王者としてタイトル防衛戦に臨むことになっている。(c)AFP