【9月21日 AFP】サウジアラビア西部の沿岸都市ジッダ(Jeddah)在住の女子大学生(24)が、留学のための旅券取得を許さなかった父親は自分の後見人ではないことの確認を求めていた民事訴訟で、裁判所は今週、女子大学生の旅券取得を父親に命じる異例の判決を下した。サウジ政府寄りの現地紙オカズ(Okaz)などが20日、報じた。

 サウジアラビアには女性が旅行や結婚などに父や夫、男性親族の許可を必要とする「後見人制度」があるが、オカズ紙によると女子大学生は10年間母親と暮らしており、父親とは6年間会っていなかった。

 男性が独断的な権力を行使し、女性親族に代わって決断を下すことを認めているサウジの後見人制度は、女性抑圧の象徴とみなされ長年批判にさらされてきた。判決を受けてサウジアラビアでは後見人制度をめぐる議論がインターネット上で巻き起こった。

 あるツイッター(Twitter)ユーザーは、「制度の中にある矛盾に驚いた」と投稿。「結局この父親は、自らの意思に反して旅券を取ることを命じられた。わざわざこんな苦労をして時間を無駄にするのではなく、なぜ女性が自分で旅券を取ることを許さないのか」と問いかけた。

 サウジアラビアは広範な社会改革を進めつつあり、女性に車の運転やサッカー試合の観戦、伝統的な男女の役割分担に収まらない職業への従事を認めるなどの歴史的な決定がなされている。(c)AFP