■断崖にぶら下がって発掘作業

 科学者らは、有機物が付着したままのディッキンソニア化石を見つけるのに、苦労してきた。現在知られている化石の多くはオーストラリアで見つかったもので、何百万年もの間、無数の外的要素にさらされていたからだ。今回の最新研究で調査した化石は、ロシア北西部の白海(White Sea)の近くにある断崖で発掘された。

 ANU博士研究員のイリヤ・ボブロフスキー(Ilya Bobrovskiy)氏は、「このまさに世界の辺境地域に到達するために、ヘリコプターを使用した。クマやカがすみかとするこの地で、有機物が損なわれていない状態のディッキンソニア化石を発見できた」と振り返る。

「化石は、高さ60~100メートルの白海の崖の中腹にあった。崖の縁からロープでぶら下がり、砂岩の大きな塊を掘り出しては投げ下ろし、水で洗う。この作業を何度も繰り返してついに、追い求めていた化石を見つけることができた」 (c)AFP