【9月20日 AFP】マシンラーニング(機械学習)技術を用いて上昇気流に乗り、自動飛行できるグライダーがこのほど開発された。今後、このグライダーを使い、鳥の渡りについての理解が進むことに期待が寄せられている。

 鳥は上昇温暖気流として知られる暖気の流れに乗り、翼を羽ばたかせることなく空高く舞い上がることができる。ただ、そのしくみについては、まだ正確には把握できていない。

 上昇気流に乗るために、鳥が本能的にどのようなシグナルを受け取っているのかを調べるため、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(University of California San Diego)の研究チームは、無人グライダーにコンピューターを搭載し、リアルタイムで計測しながら機体の調整を行わせた。

 目まぐるしく変わる環境での飛行を助けるために用いられたのがマシンラーニングの技術だ。翼幅2メートルのこのグライダーは、高度を上げるために気流の変化を測定。その結果を受け取りながら効果的に飛行できるよう学習していった。

 19日の英科学誌ネイチャー(Nature)に掲載された論文によると、グライダーはテスト飛行を15時間行っただけで、機体を安定させる方法を「習得」し、上昇温暖気流に乗るための戦略も練り上げていたという。

 グライダーが飛行中に受けるシグナルへの対応をどのように学習しているか研究を進めている主執筆者のマッシモ・ベルガッソーラ(Massimo Vergassola)氏と同僚らは、長期間の飛行で体力温存のために上昇気流を捉える鳥も、やはり何らかの物理的あるいは視覚的信号を受け取っている可能性があると考えている。

 オオソリハシシギなどの鳥は、約1万1500キロメートルを休まずに飛行できるが、それはこうした能力なしには達成不可能と思われる。(c)AFP