【9月23日 東方新報】中国・江蘇省(Jiangsu)南京市(Nanjing)で2009年に起きた「ザリガニ洗剤事件」。中国のメディアで大々的に報道され、ザリガニ好きの食客の間に恐慌を引き起こし、ザリガニ関連の飲食業は一挙に不景気に陥った。

「ザリガニ洗剤に水を加えて溶かし、ザリガニを直接その中に浸す。10分たったら、ザリガニの表面に付着した汚いものを落とす…」「ザリガニ洗剤は一種の強酸性のさび取り剤。汚水の中で育ったザリガニを短時間できれいにすることができる。ザリガニ洗剤で洗ったザリガニを食べると、横紋筋融解症になりやすく、最悪の場合は腎不全を引き起こす」

 湖北省(Hubei)潜江市(Qianjiang)でザリガニレストランを経営する曹利軍さんも、この事件に巻き込まれた。当時のことについて、「顧客が急減し、省政府や市役所から相次いで安全監査員がやってきた。これに加え、メディアが大挙して押しかけてきて、ザリガニの安全問題に消費者の関心は集中した」という。

■信頼回復へ

 事件の発生前から、ザリガニには「有害生物」や「汚水エビ」といったレッテルが貼られていた。「有害生物」とは植物の根を破壊し、穴を掘ることが好きで堤防を破壊するからだという。野生のザリガニは、繁殖力と適応性が極めて強く、汚水の中で見つかることが多かったので、「汚水エビ」と呼ばれていた。

 ザリガニ洗剤事件は、人々がもともとザリガニの安全性に対して持っていた不安感に火をつけたようなものだった。消費者の信頼を取り戻すためには、不安を取り除くしかないということで、潜江の人々は新たな取り組みを始めた。