【9月19日 AFP】先月行われた全米オープンテニス(The US Open Tennis Championships 2018)男子シングルス2回戦の試合中、ニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)を激励したとして批判されていた主審のモハメド・ライアニ(Mohamed Lahyani)氏に、2週間の資格停止処分が科されたことが18日に分かった。

 キリオス対ピエール・ユーグ・エルベール(Pierre-Hugues Herbert、フランス)戦で、スウェーデン人のライアニ氏は審判席から下りてキリオスに助言すると、この行為が論争を呼んだ。

 全米オープンの主催者はその後、ライアニ氏の行動について「規定を逸脱していた」と言及。映像の中では、第1セットを落として第2セットも0-3と劣勢の状況だったキリオスに対して「君を助けたい」「こんなのは君らしくない。私には分かっている。君の試合は見たことがある。君のテニスは最高だ」と話しているのが聞き取られた。

 思いがけない激励を受けたキリオスはこの後、25ゲーム中19ゲームを獲得して4-6、7-6(8-6)、6-3、6-0で逆転勝利を収めている。

 各メディアは18日、男子プロテニス協会(ATP)の「あの試合におけるライアニ氏の行動は、アンパイアに求められる公平性を欠いているとみなされた」とするコメントを伝え、52歳のライアニ氏には2週間の資格停止が言い渡されたと報じた。

 今回の処分により、同氏は中国オープン(China Open 2018)と上海マスターズ(2018 Shanghai Rolex Masters)で主審を務めることができなくなる。

 キリオスは先月、ライアニ氏の激励が自身のパフォーマンスに影響を及ぼすことはなかったと主張しているが、選手やコーチ、ファンはライアニ氏の度を越した行動を批判している。

 四大大会(グランドスラム)通算20勝のロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)は、「審判の役目は椅子から下りることではない。だけど、ライアニ氏がしようとしていたことは分かる。彼は自分の振る舞いに従っている」と述べ、以下のように続けた。

「審判はそれが気に入ろうと気に入るまいと、椅子の上で裁定を下す。しかし、椅子から下りてあんなふうに話しかけるのは違う、というのが私の見解だ」 (c)AFP