【9月19日 AFP】悪臭を放つ使用済み紙おむつが増え続け現状を見かねたオランダの企業が18日、この廃棄物を利益に変える国内初の再生利用工場の建設を開始した。

 オランダ中部ナイメーヘン(Nijmegen)に隣接するウールト(Weurt)のこの工場では、使用済み紙おむつからプラスチックを抽出し、庭園家具や植木鉢などの家庭用品として再生する。

 工場を運営するエネルギー企業ARNの広報担当者ハリー・アレンズ(Harrie Arends)氏は、AFPの取材に「合計で年間約1万5000トンのおむつを処理する予定だ」と語った。

 環境監視団体によると、世界では使い捨ておむつが重大な汚染源の一つとなっており、毎年数百万トンの紙おむつが埋め立て地に廃棄され、健康上の重大なリスクを形成しているという。

 12月までに最初のリサイクル処理を開始する予定のこの工場は当初、鋼製の「反応炉」1基を稼働させる予定だ。反応炉では、紙おむつに含まれるプラスチック化合物からふん尿を分離するために高圧蒸気を使用する。

「使用済み紙おむつを40バールの圧力下で250度まで加熱すると、あらゆるものが液化する」とアレンズ氏は説明し、「その後に冷却すると、プラスチック化合物の粒が浮き上がり、基本的には汚水である残りの内容物と分離される」と続けた。

 分離したプラスチックはさまざまな形で利用できるよう、造粒機を通して顆粒(かりゅう)化する。また。ガスを生成する汚水は発電所用の燃料にしたり肥料にしたりする一方、残りはパイプを通して近くの下水処理場に送られる。

 最初の反応炉は容量5000リットルとなる予定で、今後さらにもう2基建設する計画があると、アレンズ氏は話した。

 それでも処理能力はまだまだ焼け石に水だと、オランダの環境保護団体「Milieu Centraal」は指摘する。同団体によると、国内では毎年14万4000トンの使用済みおむつが捨てられているという。(c)AFP