【9月18日 AFP】各国の反ドーピング機関が加盟する国際組織iNADOは17日、世界反ドーピング機関(WADA)が薬物違反を犯したロシアの資格停止処分を解除する方針を示したことについて、同国がスポーツ界に復帰するための十分な根拠はないと警告した。

 独ベルリンに本拠地を置くiNADOは、WADAが何としても早急にロシアを復権させるための道を模索していることに関して、強い言葉で批判する内容のコメントを発表し、「道理をわきまえている人であれば、ロシアが国際スポーツ社会に対する責務を果たしていないと結論づけるはず」と述べた。

「WADAは整合性のある基準の適用に基づいて結論を下すべきであり、大国の思惑に迎合した急場しのぎは避けなければならない。スポーツ社会は、ロシアが強引な方法ではなく、公平な立場で復帰することを切望している」

 今月20日に西インド洋のセーシェル(Seychelles)で行われるWADAの会合では、ロシアの反ドーピング機関(RUSADA)に科された処分解除の可否が検討されることになっている。これを受けて批判のコメントを発表したiNADOは、この会合では「WADAがこれまで直面した中で、最も重要な決断になる可能性がある」と指摘した。

 前週にはWADAの第三者グループであるコンプライアンス審査委員会(CRC)が、資格回復に向けた「ロードマップ(計画表)」のうち最後まで未解決となっていた二つの基準をRUSADAが満たしたとして、3年間科されていたロシアの処分を解除することを勧告した。

 RUSADAの資格が回復されれば、ロシアのアスリートは全スポーツの競技大会において復帰の道が開かれることになるが、CRCの勧告に対しては世界中から批判の声が上がっており、中でも米反ドーピング機関(USADA)は「数百万人のクリーンなアスリート」に打撃を与えるものであると猛反発している。(c)AFP