【9月16日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王(81)は15日、イタリアのシチリア(Sicily)島の貧困地区で若者たちをマフィアの影響下から救う活動に取り組んでいた神父が殺害されて25年となるのに合わせて同島を訪問し、マフィアは「神を冒涜(ぼうとく)」する存在だと非難した。法王は自身が進める広範な反組織犯罪運動の一環として、日帰りでシチリアを訪れていた。

 シチリアのパレルモ(Palermo)で治安の悪いブランカッチョ(Brancaccio)地区の主任司祭だったジュゼッペ・プリージ(Giuseppe Puglisi、通称ピノ、Pino)神父は、違法薬物やマフィアの密売業者らの影響から地元の若者たちを救い出す活動を行っていたが、自身の56歳の誕生日に当たる1993年9月15日、つましい自宅の玄関前で至近距離から銃で撃たれて殺害された。神父は死の間際、犯人に向かってほほ笑み「あなたを待っていた」と言い残したとされる。

 フランシスコ法王も出席して15日にパレルモの港で行われたピノ神父の殉教25年追悼ミサには、公式発表で約10万人が出席した。法王は追悼ミサで、「神を信じないからマフィアの一員となる。マフィアに属する者はキリスト教徒として生きることはできない。なぜなら彼らの人生は神を冒涜するものだからだ」と説き、「変わりなさい。 自分自身やお金のことを考えるのをやめ、悔い改めなさい」と促した。

 フランシスコ法王の情熱的な説教は、故ヨハネ・パウロ2世(John Paul II)が1993年5月にやはりシチリア島を訪れた時に、犯罪から足を洗うようマフィアの構成員に呼び掛け、マフィア撲滅に立ち上がるよう島民たちを励ました言葉を用いたものだ。

 1993年のヨハネ・パウロ2世訪問から2か月後、シチリアのマフィアは法王への返答として島内のカトリック教会2軒を襲撃した。

 同じ1993年に殺害されたピノ神父は2012年に殉教者と認定され、翌年に列福されている。

 フランシスコ法王は15日の追悼ミサで、ピノ神父について「何よりも、人生における真の危機は危険にまったく手を出さないことではなく、困窮する事態をただやり過ごすことだと知っていた」と語った。(c)AFP/Catherine MARCIANO