【9月16日 AFP】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世(83)は15日、訪問先のオランダで、仏教指導者らによる性的虐待があったことは1990年代から知っており「目新しいことではない」と語った。

 世界の仏教徒ら数億人の尊敬を集めるダライ・ラマは、欧州歴訪の一環で4日間の日程でオランダを訪れている。14日には仏教指導者からの性的虐待被害を主張する人々の請願に応じ、十数人の被害者と面会。「心と精神を開いて仏教に救いを見いだしたのに、仏教の名の下にレイプされた」と請願書で訴えていた被害者たちに対し、虐待を知っていたと認めた。

 ダライ・ラマはオランダ放送協会(NOS)が15日夜に放映した番組でも、仏教指導者による性的虐待について「そういうことは既に知っていた。目新しいことではない」と述べた。25年前にインド北部ダラムサラ(Dharamshala)で開かれた西側諸国の仏教指導者会議で、性的虐待の問題を提起した人がいたという。ダライ・ラマは、性的虐待を犯すような者はブッダの教えを尊重していないと批判し、宗教指導者たちが性的虐待問題により強い関心を払うよう、11月にダラムサラで開催されるチベット仏教指導者の会合で協議する意向を示した。

 また、欧州でダライ・ラマの代理人を務めるツェテン・サムドゥプ(Tseten Samdup Chhoekyapa)氏は14日、「ダライ・ラマはこうした無責任かつ非倫理的な行為を、一貫して非難してきた」と説明している。(c)AFP