【9月16日 AFP】フランスのエリゼ宮(Elysee Palace、仏大統領府)で販売されることになっていた公認グッズの一つ、「リモージュ(Limoges)磁器」の窯印入りマグカップが、中国製である可能性が高いことが分かった。これを受けてエリゼ宮は15日、ブランドを保護するべく迅速な措置を取った。

 エリゼ宮の報道官はAFPに対し、リモージュ磁器をかたった製品を納入したとみられる業者に言及し、「エリゼ宮はフランスのマグ(Mug)社との取引を打ち切る」と発表した。

 エリゼ宮の売店で販売されることになっていたマグカップは、専門家によるとリモージュ産ではなく、フランス製でもない可能性が高いという。

 今回の産地偽装は、同国中部オートビエンヌ(Haute-Vienne)県に位置し、世界有数の高級磁器を生産するリモージュの職人たちを激怒させた。

 オートビエンヌ県は、特定の地域の生産品において原産地名を保護する「地理的表示保護(IGP)」に認定されており、昨年12月以降、製造から装飾までの全工程が同県で行われた磁器でなければ、「リモージュ磁器」の窯印を押印することはできない。

 リモージュ磁器職人組合のトップを務めるアラン・ムリー(Alain Mouly)氏によると、問題となったマグカップの装飾工程はフランス国内で行われていたものの、場所はオートビエンヌ県ではなく同国南部の都市トゥールーズ(Toulouse)だったという。

 ムリー会長は、「ばかげている。国は地理的表示保護を認定しておきながら、国は購入することになる製品さえ管理できていないなんて!」と憤りをあらわにした。

 納入業者であるマグ社の創設者ジャンシャルル・グランシャン(Jean-Charles Granchamp)氏はAFPに対して、地理的表示保護に違反している製品を破棄し、別のマグカップ300個をエリゼ宮に納品したと明かしたが、その産地については明らかにしなかった。(c)AFP