【9月17日 AFP】ブエルタ・ア・エスパーニャ(Vuelta a Espana 2018)は16日、第21ステージ(アルコルコンからマドリード、100.9キロメートル)が行われ、ミッチェルトン・スコット(Mitchelton-Scott)のサイモン・イェーツ(Simon Yates、英国)が英国の強豪チームスカイ(Team Sky)の陰から抜け出す初の三大ツール(グランツール)総合制覇を果たした。

 トラックからロードレースに転向した経歴を持つ才能豊かなイェーツは、前日の最後の山岳ステージで事実上の総合優勝を決めており、総合勢にとってはほぼ形式的なものとなった最終ステージを完走してタイトルを確定させた。

 イェーツは82時間5分58秒で大会を制し、クイックステップ・フロアーズ(Quick Step Floors)のエンリク・マス(Enric Mas、スペイン)、アスタナ(Astana Pro Team)のミゲル・アンヘル・ロペス(Miguel Angel Lopez、コロンビア)がそれぞれ2位と3位で総合表彰台入りを果たした。ステージ優勝は、集団スプリントを制したクイックステップのエリア・ヴィヴィアーニ(Elia Viviani、イタリア)のものとなっている。

 イェーツは「本当に信じられない経験だ。きょうは周回部分に入るときに緊張さえしたよ。何か起ったらどうしようと思ってね。だけど、こうしてようやく成し遂げることができた。信じられない」と話した。

 5月のジロ・デ・イタリア(Giro d'Italia 2018)では、優勝目前からまさかの大失速を喫してスカイのクリス・フルーム(Chris Froome、英国)に総合首位の座を明け渡し、グランツール3大会連続制覇を許す結果に終わっていたイェーツだが、ついに初のグランツール総合優勝をつかみとった。

「ジロの後はすごく落ち込んだ。本当の意味で乗り越えるにはかなり時間がかかった。だけど今回は気持ちも新たにこの大会に乗り込んで、そしてついにやり遂げることができた」

 これで2018年のグランツールは、ジロを制したフルーム、そのフルームのグランツール連続優勝に歯止めをかけ、7月のツール・ド・フランス(2018 Tour de France)を制したこちらもトラック出身のゲラント・トーマス(Geraint Thomas)と、すべて英国の選手が総合制覇を飾ったことになる。

 また、英国勢のグランツール連続優勝もこれで驚異の5大会に伸びた。ただし、スカイ以外のチームから英国の優勝者が出たのはこれが初めてで、その意味で、イェーツのブエルタ総合優勝は同国の自転車ファンにとっても特筆すべき出来事となった。(c)AFP