【9月18日 東方新報】今年の夏、中国のアニメ制作会社の絵梦動画(Haoliners Animation)の創始者、李豪凌(Li Haolin)監督が、新海誠(Makoto Shinkai)監督作品を始めとした日本のアニメ制作会社、コミックス・ウェーブ・フィルム(CoMix Wave Films)にアプローチしたことで実現した、アンソロジー作品「詩季織々(中国語題:肆式青春)」。

 本作の監督には、李監督のほか、実写映画を手掛けてきた易小星(Yi Xiaoxing)氏、CGチーフとして長年にわたり新海作品に携わってきた竹内良貴(Takeuchi Yoshitaka)監督が起用されている。

 東方新報は、本作を制作した李監督と竹内監督にインタビューを行った。

■新海作品のような「叙情的な語り口」で

 中国の生活の基本となる「衣食住行(衣服、食物、住居、交通)」をテーマに、「詩季織々」は3つの短編作品でそれぞれ中国人の生活が描かれている。各タイトルは、易小星監督の「陽(ひ)だまりの朝食」、竹内良貴監督の「小さなファッションショー」と李豪凌監督の「上海恋」である。

 中国でのアニメ制作や日中合作の経験を持つ李監督は、新海作品をオマージュするにあたり大事にした一番のポイントは、「叙情的な語り口」だと語る。

「新海誠監督の『秒速5センチメートル』を見た時、文芸的で叙情的なアニメーションに魅了された。作中の背景美術や音楽の使い方はまねしようと思ってもできない」と話した。

 李監督の短編映画「上海恋」は、上海の伝統的な住宅、石庫門(Shikumen)に住む若者の恋の物語だが、伏線を敷いているという。

「主人公が絶えず家を引っ越ししているのは、上海の景色の移り変わりを表現している。昔の街並みは石庫門だったが、近代化によって石庫門は取り壊され、現在はマンションに変わった」と話す。