■自由に暮らす、開放型刑務所

 スウェーデンは、世界で最も受刑者が少ない国の一つだ。スウェーデンとフランスの統計によると、人口1000人当たりの受刑者の割合は、フランスが1人、スウェーデンはその半分の0.5人だ。

 スウェーデンでは被告に対し、足首に監視用のブレスレット(足環)を取りつけたり、刑罰として社会奉仕活動を科したりしつつ、執行猶予を言い渡すことが多い。また刑期の3分の2を終えた受刑者は出所させている。

 さらに、釈放後あるいは刑期を終えた後に再び犯罪に手を染める人は全体の3分の1未満で、これもフランスの半分だ。

 スウェーデンのすべての刑務所では、受刑者それぞれに独房が与えられる。ロジャンでは、施錠もされていない。監視カメラやゲート、有刺鉄線なども設置されておらず、受刑者らは自由に動き回ることが許されている。

 こうした開放型刑務所は、スウェーデン全体に10か所以上ある。ロジャンの受刑者たちが有罪判決を受けた理由は、無免許運転から脱税、暴行に至るまでさまざまだが、社会に脅威を与えないと判断された上でここに収監されている。

 搾乳を終えたアルフレッドさんは、牧草地の柵を閉めながら、受刑者よりも牛の方が閉じ込められていると冗談を言った。